2年3組乙女事情
「清夏……それはまた思い切ったね」
「うん。不可抗力だけどね」
「あぁー……いつものあれね?」
「うん」
朝一番。
教室に入ってすぐに、1年の時から仲の良い七瀬[ななせ]に声をかけられた。
割と毎日見られる光景だけど、今日の場合はその会話の内容がちょっと違う。
「美容院、そろそろ固定のところ見つけたら?」
「うーん……」
頭の上で溜息を落とす七瀬に続いて、あたしも息を吐き出した。
これ、溜息でウエーブできちゃうよ……。
なかなかお気に入りの美容院が見つからなくて、いつもネットの評判とか、クーポンとかで見つけた美容院を転々としてるあたし。
昨日も、たまたまクーポンのあった椿駅前の美容院に行ったの。
髪を切ってくれたのは、ちょっと若そうな男の人。
何となく長い髪に飽きてきたあたしは、ボブくらいにできないかなって思って美容院に行ったんだけど……
何を間違ったのか、最初のカウンセリング後の用紙には髪を“バッサリ”切るって書いてあって……
気が付いたら予想以上に短くなってたあたしの髪は、完全にリア女生の中でも“浮いていた”。