2年3組乙女事情

がやがやと騒がしかった教室に、一際大きい声と体の担任が入って来た。



先生の今日の服装は、白い長袖のブラウスに膝丈の黄色いスカート。


……あんな色のスカート、どこに売ってるんだろ。



「じゃあ、また後で!」



小さくそう言って席に戻る七瀬の背中を見送ってから、あたしは先生に視線を移した。



そのまま、教室が静かになるのを待ってる先生をぼーっと見る。



「布施さん、その髪型……どうしたんですか?」


「え?」


「ずいぶんと思い切りましたね……」



明らかに嫌そうな顔をする先生を見て、思わず背中を丸めた。



わざわざ、ここで言わなくても良いのに……



先生の言葉に合わせて、みんなの視線もあたしに注がれる。



「あ、はい……」



小さくそう言ったあたしを見て、先生が何回か頷いた。



……そこは、何か言ってくれても良いんじゃないの?



先生があたしの髪型を見て、良い顔をしなかったのはもちろん、この髪型がリア女の雰囲気に似合わないから。



ピンクのスカートにも似合わないけど、上品で割と厳しい校風にも、ボーイッシュすぎるこの髪は合わない。


バスケ部とか剣道部の子だって、ここまで短い子はいないし。



何もなかったみたいに連絡事項を話し始めてる先生を見て、あたしはもう一度深く項垂れた。



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