2年3組乙女事情
「リハビリ。
昨日、清夏が言ったお店は……まぁ、例外として、美容室って本来、お客さんの希望に沿って、髪を整えてくれるところでしょ?」
「うん」
「だからまずは、そうやって無条件で自分の言うことを聞いてもらえる環境の中にいる時に、言いたいことを主張できるように頑張ってみたら?
そーゆー意味で、リハビリ。
できたら、もう少し楽になれるかもしれないわよ?」
そういうもの……かな?
うーん、そんな気もするような、しないような……。
「舞花さん、着きましたよ」
「あ、本当? じゃあもう、行くしかないわね!清夏、とりあえず降りるわよ!」
「えぇ!?」
舞花は、そう言いながら綺麗に微笑むと、あたしを車から押し出した。
そのまま右手を引かれて、薄いグレーのコンクリートの階段を一気にのぼる。
思いっきり開かれたドアの向こうでは、いつも感じてたような美容院独特の香りがしなくて……
それが少し不思議なのと同時に
いつもと違う自分になれる予感みたいな……胸がかゆくなるような気分になった。