2年3組乙女事情

差し出された右手を見て、思わず首を傾げる。



何の変哲もない、手のひらサイズの四角いビニール袋。


わけがわからなかったけど、とりあえず手に取って裏のテープをはがした。



「これ……」


「可愛いでしょ?昨日見つけたの。短いからそんなにアレンジ効かないかもしれないけど、ピンくらいならつけられるかなって」



小さく笑う七瀬を見つめてから、あたしは思わず視線を落とした。



袋から出てきたのは、きらきらした白い石でできたお花の付いたピン。



誕生日は2ヶ月も前。


何か賞を取ったわけでもないし、むしろ迷惑をかけることしか最近はしてない。



「ありがとう、七瀬」


「どういたしまして。今の髪になら、これも映えそうだね」


「うん。嬉しいよ」



あたしは、ゆっくりと七瀬に視線を合わせた。



「おはようございます。席について下さい」


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