2年3組乙女事情
14番 峯岸美海
「お前、いい加減にしてくんない?」



瑤[よう]が、呆れたようにそう呟いた。


そして、あたしの隣

いつもの場所に座って、ぎしっと椅子の背もたれを揺らす。



「いつも俺の仕事増やしやがって……」


「増えるのは迷惑?」


「当たり前だろーが」


「あたしと一緒でも?」



シャーペンを置いて、隣に顔を向ける。

少し首を傾げて瑤を見ると、はぁ、という軽い溜め息が聞こえた。


窓から差し込む夕日のせいで、瑤の表情はよく見えない。



でも、たぶん……

続く言葉は、何となくわかる。



「美海と一緒だから、“迷惑”なんだよ。それくらいわかるだろ」



ほらね。やっぱりそう言う。


学年2位の観察力、甘く見ないでよね?



「あたし、そこまで頭良くないからわかんない。だからここにいるんだし?」



微笑むあたしに

瑤はやっぱり呆れながら、そっと顔を近づけた。
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