2年3組乙女事情

「課題の件は、グラフからも峯岸さんと穂高先生の努力が見えるから良しとしても……2人の会話の内容はどう説明するんです?
録音までされてるけど……」


「録音っ!?新聞部の子が、ですか?」


「えぇ、そうみたい。ほら」



そう言うと、担任が小さなプレイヤーの再生ボタンを押した。



「美海の声、ひど……」



……確かに。


興奮してたから、何を言ってたのかは細かく覚えてない。



流れてくる音声は質も悪くて、ところどころ聞き取れないところもあったけど、会話の大筋はつかめるものだった。



“瑤”って呼んだんじゃないかとか、あたし達の関係について少しでも話したんじゃないかとか


いろいろ不安なことはあったけど……



ラッキーなことに、この会話なら変な噂を流されたこととテストの点数が悪かったことにいら立ったあたしを、瑤が落ち着かせようとしてるとしか聞こえない。



「峯岸さんは真面目な生徒ですからね。
記事に書いてあるような噂を聞いて神経質になっていたところにこの点数でショックだったんじゃないでしょうか?
しかも、追加課題の該当者が自分だけだということに気付いて、それが噂をさらに悪化させるんじゃないかと恐れたみたいです」



ゆっくりとそう言うと、瑤はあたしを振り返った。



「そうですよね?峯岸さん」


「はい」



にっこり微笑む瑤に、深く頷く。


きっと、もう大丈夫――――
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