2年3組乙女事情


「テストの点数や取り乱したことに関しては謝ります。
でも、妙な噂やこのような記事が作られてしまったことについては、私に悪い点があったとは思えません。
せっかく指導をして下さっている穂高先生にも、これでは申し訳ないと思います。
伝統と趣を大切にするこの学校でこうした卑劣な出来事が起こらないように、先生方も今後、気を配ってはいただけませんか?私達生徒間でも、十分に注意しますので」



深くお辞儀をしてから、先生達をぐるっと見上げた。



静かになったタイミングで、隣にいたありすが楽しそうな笑い声を上げる。



「てか、教頭先生だってこんな噂信じてないんでしょ。若い男性教員と生徒の関係が噂されることくらい、教頭先生が若い頃にもあったはずですし?」


「雨宮さん、よく知っていましたね。僕も今同じことを言おうと思っていたんですよ。教頭先生と奥さんの話……」


「それくらいにしようか!」



静かだった空気を切り開いて楽しげに話し出したありすと瑤に、教頭先生が咳払いをした。



……教頭先生の奥さん、教え子だったんだ。


こういう場面でさらっと話と空気を切り替えられるありすは、やっぱりすごい。



「今回の件は、記事を作った生徒の勘違いということで良いですね?こういった事実はないし、峯岸さんには今後も成績を伸ばしてもらいたい。
噂が消えない限りは窮屈な思いをするかもしれない。そこは、教員もフォローできるように気を付けましょう」



解散ってこと、かな?


教頭先生の言葉を合図に、集まってた先生達がゆっくりと自分の席に戻り始めた。



「あと、穂高先生と雨宮さん。さっきの話は、あまり大勢の前でしないように」



気まずそうにそう言った教頭先生を見て、あたし達は思わず笑った。
< 197 / 278 >

この作品をシェア

pagetop