2年3組乙女事情
「は?」
「何でもない!」
「意味わかんねぇ」
「私もわかんないから、わからなくて平気だよ」
にっこりと笑ってそう言うと、翼は納得してないみたいに眉をひそめた。
でも、私だって良くわからないんだから仕方がない。
「それよりも、これ。ありがとね」
背を向ける翼の前に、開いた手をかざす。
少し間を置いてから、翼は鬱陶しそうに私の腕を押し返した。
「別に。これで静かにテレビも見れるし」
「はいはい」
何気ない、翼と私ではよくあるお留守番の風景。
ちょっといつもと違うこともあったけど、久しぶりに真剣そうな翼を見られて、少し楽しかった気もする。
全然芸術家らしくないって思ってた翼のことも、少し見方が変わった……かもしれない。
何となく小さく微笑んでから、私はテレビに視線を移した。
「気持ち悪いな、お前……」
「うるさいなぁ」
「口答えするな。生意気だろ」