2年3組乙女事情
最近仕事をなくした聡さんとは違って、最近仕事が忙しくなったお母さんはまだ帰ってきてない。
つまり私が行かないと、聡さんは1人でご飯を食べることになる。
マンションのくせに割としっかり作られたダイニングには小さいけどテレビもある。
だから、1人でご飯を食べたって別に退屈はしないはずなんだけど……
そう思ってダイニングに顔を出さなかった1日目。
聡さんは私を、大人しく1時間も待っていた――――
「いただきます……」
「いただきます」
1人暮らしの経験があるらしい聡さんは、無難に家事をこなしていた。
今日のご飯も、手作りらしき餃子とかスープとかがバランスよく並んでる。
……手の込んだ料理を作る時間があったら、仕事を探した方が良いと思うんだけど。
「勉強はどう? リア女はやっぱり大変なの?」
「まぁ、それなりには。でも、別にそこまでではないと思う」
「そう? でも、学費を少し免除してもらってるんだよね?
結構頑張らないとできないものなんじゃない? それ」
不思議そうに首を傾げる
「全額免除は相当成績も良くないとダメみたいだけど、私はそこまでじゃないから。
まぁ、成績は落とせないから頑張るけどね」
「すごいよ、七瀬ちゃん。お母さんもしっかりしてるし、血の繋がりってすごいんだなぁ」
それをあんたが言うのか。
血の繋がってない、聡さんが……。