2年3組乙女事情

「ありがとう。僕にできることは、このくらいしかないからね」



そう言われて、慌ててまたお茶碗に手を伸ばす。



やっぱり悪いよ、居心地……。



小さく吐き出しそうになった息を、私は最後のご飯と一緒に飲み込んだ。



「ごちそうさま。勉強の続きしてくる」


「うん。頑張ってね」



座ったままにっこりと笑う聡さんに、私はそのまま背中を向けた。



嫌いなんじゃないんだ。


ただ、居心地が悪いんだ。



名前のことでいろいろあったから。


聡さんが頼りないから。


他の家族と違って、人生の半分以下しか一緒に過ごせてないから……――――



私はきっと、それが気に入らないだけなんだ。



結論がわかってるのに、適切な対応ができない今の私は、まだまだ子どもなのかもしれない。




自分の部屋のドアを閉めてから、私はさっき溜め込んだものを、全部吐き出した。

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