2年3組乙女事情
「テストって、何のテスト?」


「数学の単元末テスト。他の教科にはないんだけど、数学だけいつもやるの。追試もあるし」


「数学ってことは、例のベテラン担任?」


「そう。だから余計に面倒かも」



小さく笑いながら話す聡さんは、たぶんおばさん先生を想像してるんだと思う。



先生に直接会ったことがない聡さんだけど、お母さんと私の話から、大体どんな人かは想像できてるんだと思う。



「やっぱり、リア女は大変なんだね」


「聡さんは、そういうのなかったの?」



苦笑いをする聡さんは、もしかしたら勉強があんまり好きじゃなかったのかもしれない。



……リストラされちゃうくらいだし。


まぁ、それだけが原因ではないと思うんだけど。



「うーん……テストはそれなりにあったかな。でも、リア女よりはだいぶ雰囲気も緩かったよ」


「そうなんだ。リア女ってやっぱりちょっと特殊なのかな?」


「そうかも。でも、制服も可愛らしいし、しっかりしてるし、良い学校だとは思うけどね」


「確かに。これで学費が安かったら最高なんだけどね」


「それは間違いないな」



いたずらっぽく笑いながら、2人で家までの道を歩き続けた。



椿駅から少し離れてきたからか、周りは少し静かになってきてる。



「あ、そういえばさ……」



突然吹いた風に顔を歪めながら、私は思い出したみたいに話し出した聡さんに視線を送った。



「あれ? 百瀬七瀬?」
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