2年3組乙女事情

いきなり立ち止まったからなのか


いきなり低い声を出したからなのか


その両方だからかはわからないけど、聡さんが眉をひそめながら私の隣に立った。



「昔、名前のこともあって私が学校でからかわれてたのは知ってるよね?それがあの子達だって、思わなかった?
そういう子がいないようにって、頑張ってリア女に入ったのに……!」


「気付いてたよ、それは」



さらっとそう言った聡さんを、思わず睨みつける。



「じゃあ、かばうなりすり抜けるなり……協力してよ!」


「でも、それじゃああまりにも子どもっぽくない?あの場を上手くまとめれば、向こうだって満足……」


「そういうのいらない!」



だって、あの子たちが馬鹿にしたのは私だけじゃない。



聡さんのことだって……――――



「今から私に近づかないで。絶対1メートル以上間隔開けて!」


「は? 何で!?」


「何でも!」



早く追いつかれないくらいの距離まで行きたくて、ずかずか歩いた。



きっと今の私、めちゃくちゃだ。


言ってることも、表情も、全部。



「ちょっと、七瀬ちゃんっ!」
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