2年3組乙女事情
私は、不思議そうな顔をする聡さんをまっすぐ見た。
「今日私を助けてくれたのは、血も繋がってない人だったわけだし」
「七瀬ちゃん……」
微笑んだ聡さんと目が合った。
細くなった優しそうな目から、何となく視線を外す。
「そう思えるくらい、“プラス”だったの。今日のことは」
「プラスって?」
「え、あ……こっちの話!
てか、いい加減その、“七瀬ちゃん”ってゆーのやめてくれない?呼び捨てにしてよね。
……一応、父親なんだから」
「七瀬ちゃん?」
「だから、“七瀬”だって言ってるでしょ!?」
思わずそう叫んで、私は鞄を持ち上げた。
こんな所、何かもう、いたくない。
「帰る。明日の小テスト、満点取りたいから」
そう言いながら、勢いよく立ち上がる。
「もうすぐお母さん来るはずだから、それまで待ってて。その頃には、処置も全部終わって落ち着いてるはずだから。
……一緒にウチに帰って来たら良いでしょ」
「ありがとう。勉強頑張って、七瀬」
見下ろすと、聡さんは相変わらずにっこり笑ってた。
こんなにすぐ、さらっと呼び捨てにできちゃうなんて……
無職でも、やっぱり人生経験豊富な大人なんだよね。
高校生の私には、まだ少し難しいから――――
「当たり前でしょ、…………お父さん」
「今日私を助けてくれたのは、血も繋がってない人だったわけだし」
「七瀬ちゃん……」
微笑んだ聡さんと目が合った。
細くなった優しそうな目から、何となく視線を外す。
「そう思えるくらい、“プラス”だったの。今日のことは」
「プラスって?」
「え、あ……こっちの話!
てか、いい加減その、“七瀬ちゃん”ってゆーのやめてくれない?呼び捨てにしてよね。
……一応、父親なんだから」
「七瀬ちゃん?」
「だから、“七瀬”だって言ってるでしょ!?」
思わずそう叫んで、私は鞄を持ち上げた。
こんな所、何かもう、いたくない。
「帰る。明日の小テスト、満点取りたいから」
そう言いながら、勢いよく立ち上がる。
「もうすぐお母さん来るはずだから、それまで待ってて。その頃には、処置も全部終わって落ち着いてるはずだから。
……一緒にウチに帰って来たら良いでしょ」
「ありがとう。勉強頑張って、七瀬」
見下ろすと、聡さんは相変わらずにっこり笑ってた。
こんなにすぐ、さらっと呼び捨てにできちゃうなんて……
無職でも、やっぱり人生経験豊富な大人なんだよね。
高校生の私には、まだ少し難しいから――――
「当たり前でしょ、…………お父さん」