2年3組乙女事情
「気付いてると思うけど……前まで結構遊んでただろ、俺。
アイツは今もそうだって勘違いしてて、勝手にくっついて来たんだよ」


「しかも、トイレって何? 意味わかんないんだけど」


「いや、それは俺もわかんねぇ。駅だから変に冷たくもできないと思って大人しくしてたら、いきなり入れられた」



首をひねりながらそう言う井上律を見てると、今の話は全部本当みたいに聞こえる。



でも、これだけで「はいそうですか」って納得できる程、あたしは大人じゃない。



この際だから、気になることは全部聞いちゃおうかな。


……穂高先生の言ってたことが、こーゆーことなのかはわかんないけどさ。



「それで?そのまま何もしないで出てきたって?鍵のかかった個室で?」


「いや、キスはした」


「したのっ!?」


「したってゆーか、された!いきなり!不意打ち!」



信じられない……


良いバカってゆーか、ただのバカなんじゃないのっ!?



「そんな気ないって言ってるのに勝手にしてきたから腹立って、軽く突き飛ばして外に出たところで瑛梨奈ちゃんに会ったんだよ」



言いながら、井上律が少ししおれた。



「会うと思わなかったからびっくりしてさ、固まってるところでアイツがまた腕組んできて……。
俺さ、本気で瑛梨奈ちゃんと付き合えたらって思ってたからヤバいって思って。そのために遊ぶのもやめたり、彰宏にいろいろ聞いたりしてたんだよ。
それが全部ダメになったって思ったら、頭の中真っ白になってさ。ぼーっとしてたところをまた連れてかれた」
< 239 / 278 >

この作品をシェア

pagetop