2年3組乙女事情
もしもあたしがドラマとか漫画とかの主人公なら、昨日からの井上律の行動に感動して、付き合っちゃうのかな?
愛の力、とやらの影響を受けて……さ。
でも残念ながら、あたしはただの女子高生だ。
しかも、どっちかって言うと割と真面目な、お堅い感じの。
だから、昨日今日の井上律を見ただけで、急に一緒に遊びたくなったり、付き合いたくなったりするわけがない。
大体、“付き合ってほしい”とは言われたけど、どうして“付き合ってほしい”のかはまだ聞かされてないし。
「髪染めただけでしょ? あんなのを愛って言うんだったら、人間なんて愛で窒息死してるよ」
「何? 瑛梨奈ちゃんいきなり乙女化?」
「愛の力……?」
「……はぁ」
思わず溜息を吐いた瞬間、おばさん先生が教室に入って来た。
慌てて、果歩ちゃんと亜希帆ちゃんが自分達の席に戻る。
そんな様子を見てから、あたしはまた小さく息を落とした。
「瑛梨奈ちゃん!」
からかわれるのに耐えられなくて早々に教室を出たあたしは、校門を出たところで井上律に呼び止められた。
「ちょっと、瑛梨奈ちゃん!」
視線も合わせないで通り過ぎるあたしを、井上律が慌てて追いかけてくる。
それでも無視して歩き続けるあたしの腕を、井上律ががしっとつかんだ。
立ち止まって、少し高い位置から降りてくる視線に目を合わせる。
「何? こんなとこで待たれたって迷惑なんだけど?」
愛の力、とやらの影響を受けて……さ。
でも残念ながら、あたしはただの女子高生だ。
しかも、どっちかって言うと割と真面目な、お堅い感じの。
だから、昨日今日の井上律を見ただけで、急に一緒に遊びたくなったり、付き合いたくなったりするわけがない。
大体、“付き合ってほしい”とは言われたけど、どうして“付き合ってほしい”のかはまだ聞かされてないし。
「髪染めただけでしょ? あんなのを愛って言うんだったら、人間なんて愛で窒息死してるよ」
「何? 瑛梨奈ちゃんいきなり乙女化?」
「愛の力……?」
「……はぁ」
思わず溜息を吐いた瞬間、おばさん先生が教室に入って来た。
慌てて、果歩ちゃんと亜希帆ちゃんが自分達の席に戻る。
そんな様子を見てから、あたしはまた小さく息を落とした。
「瑛梨奈ちゃん!」
からかわれるのに耐えられなくて早々に教室を出たあたしは、校門を出たところで井上律に呼び止められた。
「ちょっと、瑛梨奈ちゃん!」
視線も合わせないで通り過ぎるあたしを、井上律が慌てて追いかけてくる。
それでも無視して歩き続けるあたしの腕を、井上律ががしっとつかんだ。
立ち止まって、少し高い位置から降りてくる視線に目を合わせる。
「何? こんなとこで待たれたって迷惑なんだけど?」