2年3組乙女事情
「とにかく! そんな理由じゃダメだから!」
びしっとあたしを指さしてそう言った部長は、何事もなかったみたいにパソコンに向き合った。
「何で?」
「何でも!」
「“何でも”って何!?」
「何でも!!」
部長がパソコンから顔を上げる気配がない。
杉野さんも、あたし達の会話を何でもないBGMみたいに聞き流しながら、涼しそうな顔で読書をしてる。
「入れてくれるまで、毎日通い続けてあげるんだから!」
こうなったら開き直るしかない!
いくら拒否されたって、部室のドアを叩き続けてあげるんだから!
そう思って1人で頷くあたしに、部長がちらっと視線を送った。
「……幽霊部員宣言?」
「違うっ!」
低い声で言った部長の言葉を、全力で否定する。
いつの間にか立ち上がっていた杉野さんが、カーテンを閉めながら小さく笑った気がした。