2年3組乙女事情
「そりゃ、リア女かな。やっぱり」



申し訳なさそうに言う部長を見て、あたしはゆっくり頷いた。



「正解。
でもあたしは、やっぱりリア女よりも地元にいたかった。だから、中学のみんなが同じ高校の話で盛り上がったり、放課後に遊んだりしてるのを見て羨ましかったの」



ゆっくりと息を吐き出してから、話を続ける。



「リア女に入ったあたしは、勉強と通学でみんなと遊ぶ時間はない。だからって、中学の時以上に楽しい学校生活を送る自信もなかった。
それにね、リア女のみんなって頭も良いから、何となく付き合いもあっさりしてて、表面だけなんじゃないかなって、思ってた。
何より、クラス替えもないような田舎で育ったあたしには、友達の作り方がわからなかった」


「そんなこと……」



クラス替えがないってことは、新しく友達を作る必要がないってこと。



最初に友達作りをしたのは、小学校に入る前。



何をやっても楽しくて、誰とでもはしゃげる子どもと高校生では、友達の作り方だってきっと違う。



話しかけるタイミングは?


自己紹介ってどのくらい必要?


どの程度の会話なら、迷惑って思われない?


同じ中学から来ててすでに仲の良い子達に、話しかけても平気?


そもそも、話しかけるって、何を?



1回ぐるぐるし始めた頭の中は、もう止めることなんてできなくて



あたしは気付いたら、友達を作れないまま、高校生活の半分を終わらせてた。

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