2年3組乙女事情
「例えば杉野さんは、読書ばっかりしてるからいつ話しかけて良いのかわからなかったし」
「ごめん……」
小さく謝る杉野さんに、思わず小さく笑った。
口を開く様子がない部長を見て、そのまま話しを続ける。
「3組で言えば、雨宮さんとか委員長とかは一匹狼な感じで話しかけにくいし。
仲程さんと根尾さんなんて個性強すぎであたしの入る隙間なんてなさそうだし、藤堂さんはお嬢様で世界違う気がするし、小松さんはピアノピアノって真面目であたしなんかと話してくれなさそうだし、……」
「何か、3組がすごく微妙なクラスに思えてきたんだけど」
「でしょ? あたしも、ずっとそう思ってた」
「……過去形?」
首を傾げた部長を見ながら、まっすぐ頷く。
「過去形。最近は……、ちょっと違うの」
「違うって?」
部長、首傾げてばっかだなぁ……。
何となくそんなことを考えながら、あたしは杉野さんに視線を送った。
「杉野さんはさ、最近は榎本さんとか静里さんとかとときどき話すようになったでしょ?」
「うーん……。まぁ、確かにそうかも。それで?」
少し考えるみたいにして言った杉野さんが、あたしの話を促す。
「一匹狼だと思ってた雨宮さんと委員長は最近2人で一緒にいることが多くなったし、仲程さんと根尾さんも毎日一緒に笑ってる。
藤堂さんは何気にクラスの子に気を配ってるとこがあるし、小松さんはピアノ以外のことにも一生懸命になろうって頑張ってるように見える」