2年3組乙女事情

「だから、過去形」


「過去形?」


「3組ってね、全然薄っぺらいクラスじゃなかったの。
みんなそれぞれの友達の作り方を持ってて、みんなそれぞれの作り方を受け入れて新しいコミュニティーを広げててたの」


「それで?」



赤フレームで上目使いって、ちょっとセクシーだったりするのかもしれない。



そんな、どうでも良いことを考えながら、部長に視線を合わせた。



「それって、ものすごく青春っぽいじゃない?」



目一杯微笑んだあたしに、部長がぱっと目を見開く。



「全然合わなさそうな子同士がくっついて、楽しそうに笑って。
すごく真面目で可愛くて、なのにちょっと格好良い……ものすごくリア女っぽい青春が始まっていくのを、あたしは3組でたくさん見つけたの」



ここが文芸部の部室だからかな?



気のせいかもしれないけど、あたしの選択してる言葉がいつもよりも可愛らしくて、ちょっとフィクションっぽくなってる気がする。



でも、そんなのもちょっと楽しくて、青春っぽい。



「あたしもその、リア女っぽい青春の1ページに刻まれてみたくなったわけ。
せっかく入学したんだもん! そのくらいしなきゃ、もったいないでしょ?」



にやりと頬を引き上げる。



そんなあたしに思いっきり冷めた視線を送ると、部長は溜息と一緒に言葉を吐き出した。



「だったら仲良しな3組で青春しなさいよ。外部の文芸部にそれを求めにくるのはおかしいでしょうが」

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