2年3組乙女事情
「そうも思ったんだけど……何かさ、いきなり仲良さげなクラスに飛び込むなんてハードル高いじゃん?」
「は?」
「今までコミュニケーション的なものって適当にやり過ごしてきちゃったし……。
だから、何てゆーの?人数少ないところでちょっとリハビリってゆーか、慣れてから本番に臨めたらって思って!」
「……」
あれ? 固まっちゃった……。
眉間にしわを寄せた部長の奥で、杉野さんが小さく笑ってる。
「委員会は今更入れないし、人数少な目で今から受け入れてもらえそうで、青春っぽい場所って言ったら……」
「部活だと?」
「そう! さっすが部長!話が早いっ」
両手を合わせて明るい声を上げたあたしを、部長は思いっきり睨みつけた。
ばんっと響いた机を叩く音に、思わず肩がびくっと動く。
「あんた、思いっきりこの部を踏み台にしようとしてるよね?慣れてから本番って……完全に馬鹿にしてるよね?入部したい人間のセリフではないよね?」
あー……何か地雷ふんじゃった感じ?
鋭くなった赤いフレームから視線をそらしながら、あたしは小さく笑ってみた。
「何でもいいじゃん! 入部したい気持ちは本物!」
「だからって……!」
勢いよく立ち上がった部長を見て、思わず顔の横で両手を広げる。
「それに、こうやって毎日部長と一緒に話してるの楽しいし。何か、このちょっとおバカな言い合いを真剣にやっちゃう辺り……青春じゃない?」