2年3組乙女事情
いきなり変わった環境に馴染めなかったあたしは、最初からわかんないって全部を投げ出してた。



友達の作り方がわからない。

話しかけ方がわからない。


わからない、わからない、わからない、仕方がないって。



でも、それだと毎日なんて全然楽しくないし

気がついた時には進んでく周りのみんなから取り残されて、ますます“わからない”の溝が広がっていっちゃうんだよね。



それがすごく馬鹿みたいで、もったいないことだって気付くのに、あたしは1年と半年以上かかった。



……それはそれで、ものすごくもったいない。



だから、あと1年と半年弱は……


わからなくってもとりあえず自分なりにぶつかって、楽しいって思える瞬間を増やしていきたいって思ったんだ。



そう思ってぶつかったら、前から話したら面白そうだって思ってた部長と話せたし


文芸部っていう、大人しいのか大人しくないのかよくわからない、面白い部活にも入れた。



スポーツに打ち込むとか、恋愛を楽しむとか、……


青春の形っていっぱいあるけど


ゆっくりでも充実に向かってる今のあたしの高校生活も、実はものすごく青春っぽいんじゃない?



……あ、こーゆーことを文章にすれば良いのかな?


本ってあんまり読まないから、よくわかんないんだよね。



「本当、有り得ないんだけど……」



部長が、今日になってからもう何回目かわからない溜息を吐いた。


そんな部長を見て、思わずにっこり微笑む。



「青春最高!」



顔の横でピースを作ったあたしに、少しあったかい苦笑いが降りてきた。





~18番 横岩理紗 END~
< 258 / 278 >

この作品をシェア

pagetop