2年3組乙女事情

「ねぇ侑? 今日、買い物に付き合ってくれない?」



鞄に教科書を詰め込むあたしに向かって、七瀬がにっこりと微笑んだ。



「聡さんにプレゼント買おうと思って。クリスマスの」



うわー、すっかりラブラブなわけね。


小さく笑ったあたしを見て、七瀬が不思議そうに首を傾げる。



「一気に仲良くなったんだね」


「そうかも。聡さん、一応仕事も始めたしね。家族分のクリスマスプレゼントをそれぞれ用意しようって、聡さんが提案したの」


「そうなの?」


「聡さんなりに、家族のことも考えてるんじゃないかな?ま、ダメ人間なことに変わりはないけど」



いきなり真顔になった七瀬を見て、思わず笑う。



ダメ人間。


そう言ってる割には、七瀬は前までよりも楽しそうだ。



「一緒に来てくれる? 侑も一緒に彼へのプレゼントを選んでくれて良いし」


「あたしはプレゼントする相手がいないけど。聡さんのプレゼント選びは手伝うよ」


「相手がいないってどういうこと!? 聞いてないけど!」



眉間にしわを寄せた七瀬が、歩き出したあたしの後を慌てて追ってくる。



「だって言ってないもん。まだ昨日の話だし」


「昨日!?どういうこと!? 全部話してっ!」



勢いよくそう言った七瀬を見て、あたしは思わず笑った。
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