2年3組乙女事情
「はぁ? 意味わかんない!」
買い物終わりに寄ったチェーン店のカフェで、七瀬が不満そうな声を上げる。
「あたしだってそうだよ」
去年の今頃から付き合い始めた彼は大学生。
中学の友達のお兄ちゃんの友達の……
みたいな、紹介で知り合ったのがきっかけだ。
紹介されておいて変な話だけど、大学生から見たら、高2のあたしなんて子どもっぽくてどうにもならないんじゃないかって思ってた。
でも、何やかんやでそんなことはなかったみたいで……
気付いたら、あれからもう1年だ。
「テスト期間中に会えなかったから、それで浮気ってことでしょ?」
「そうみたい。でも、テスト期間なんてこの1年間で何回もあったんだよ?だから、もしかしたらこういうの、今回だけじゃないのかもって」
「それはわかんないけど……。それで、彼が他の女の人を部屋に連れ込んでるのを見て、そのまま大人しく帰って来たわけ?」
眉間にしわを寄せる七瀬に、苦笑いを返す。
いつもはあたしの方が七瀬にアドバイスをしたり、引っ張ったりするタイプなのに……
弱ってるのかな、あたし。
「大人しく帰ってくるのは悔しくて……、彼の自転車のタイヤ、片方だけパンクさせてきちゃった」