2年3組乙女事情
「……地味すぎるでしょ」
「そう……?」
「しかも、何で片方?」
「いや、何となく……」
苦笑いをするあたしを見ながら、七瀬は眉間にしわを寄せた。
……そのままココア飲むの、やめてくれないかな。
「まぁ、何となく可愛いとは思うけど。良くはないんだけどさ。
てゆーか何? その、奇跡みたいなシチュエーションは」
そう呟く七瀬に合わせて、あたしは溜息を落とした。
本当、奇跡だと思う。
テストも終わって時間もできたからって
いきなり訪ねてびっくりさせてみようって
そんな、似合わないことを考えたからダメだったんだと思う。
少しは可愛く思ってもらえるかもしれない、なんて、変な期待して、空回りして、……
そんな自分の阿呆さ加減に、何も言えなくなる。
「とりあえず、あたしはふられたし、クリスマスにプレゼントをあげる相手もいないってことで。その報告だけはしたからね?」
「私は何も言えないけど……。スッキリしたい気分の時はカラオケでも買い物でも食べ放題でも、何でも付き合うから!」
真顔の七瀬に微笑んで、あたしは小さく頷いた。