2年3組乙女事情
「あら!和田さん、今日は来られたのね?よかったわ」



そんな担任の先生の言葉から始まったホームルームのせいで、わたしの1日は一斉に教室中の視線を浴びることから始まった。



仕事をすることを許可してもらえるように学校と掛け合ってくれたし、素敵な先生だとは思うんだけど……


こういうところは直してほしい。



カメラとか、お仕事で会う人達とかの視線には慣れてるけど、こういう珍しいものを見るみたいな視線には慣れられない。



それで学校が苦手になったような気もするけど……。



たまに1回休むだけなら、問題ない。


だけどそれが何回も続くと、気付いた時には自分の居場所なんてなくなってる。



それに、リア女は1クラスの人数が少ないからかな?



途中から入ろうとした人間が簡単に隙間を見つけられるほど、クラスメイト間の結びつきは緩くない。



それは、今日半日でひしひしと感じられた。


実際、もう4時間も授業に耐えたのに、わたしは家を出てから、1回も声を出してない。



「はぁ……」



小さく溜息を落としてから、わたしはイスをがたっとならした。



あれ? これが初音声?


小さく頬を歪めながら、お弁当を持って教室を出る。



校舎を出て、何となく、そのままグラウンドの端に座り込んだ。



持ってきたお弁当箱を開いて、ぼーっと空に視線を移す。


冬の太陽ってある意味、夏のよりもいやらしい。


日焼け止め、塗り直した方がよかったかな……



「はーちゃんっ!?」
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