2年3組乙女事情
「え?」
背後から聞こえてきた声にびっくりして振り返ると、窓から身を乗り出す女の子がいた。
この子、わたしと同じ列の席の……
「えーっと、……横岩、さん?」
「タイミング良すぎっ!感動!すごいっ! これも青春の力?」
「ちょっと、馬鹿なこと言わないで。うるさいから黙ってくれる?」
1人で騒ぐ横岩さんの後ろからするどい声が飛んでくる。
「部長うるさーい!」
「はぁ!? ちょっと、いい加減にしなさいよ!」
声の主が、ばこんっと横岩さんの頭を持っていた冊子で叩いた。
全然痛くなさそうだけど、それに合わせて横岩さんが不満そうに“部長”と呼ばれた人を見上げる。
「だってほら!この雑誌の“はーちゃん”が、この和田さんなんだよ?すごくない?
青春の勉強しようと思って何となく雑誌開いたら、はーちゃんがいて、和田さんがいたんだよ?感動でしょ!」
「……青春の勉強って何?」
不思議に思ってそう聞くと、横岩さんじゃなくて、赤いフレームの眼鏡が似合う部長さんが「気にしないで」と呆れたように答えた。
そのまま、「それより……」と口を開く。
「噂には聞いてたけど、本当にリア女の同級生だったのね。モデルの“和田はつひ”って。
学校で見たことない気がするけど、やっぱり仕事って忙しいものなの?」