2年3組乙女事情

「え?」



背後から聞こえてきた声にびっくりして振り返ると、窓から身を乗り出す女の子がいた。


この子、わたしと同じ列の席の……



「えーっと、……横岩、さん?」


「タイミング良すぎっ!感動!すごいっ! これも青春の力?」


「ちょっと、馬鹿なこと言わないで。うるさいから黙ってくれる?」



1人で騒ぐ横岩さんの後ろからするどい声が飛んでくる。



「部長うるさーい!」


「はぁ!? ちょっと、いい加減にしなさいよ!」



声の主が、ばこんっと横岩さんの頭を持っていた冊子で叩いた。



全然痛くなさそうだけど、それに合わせて横岩さんが不満そうに“部長”と呼ばれた人を見上げる。



「だってほら!この雑誌の“はーちゃん”が、この和田さんなんだよ?すごくない?
青春の勉強しようと思って何となく雑誌開いたら、はーちゃんがいて、和田さんがいたんだよ?感動でしょ!」


「……青春の勉強って何?」



不思議に思ってそう聞くと、横岩さんじゃなくて、赤いフレームの眼鏡が似合う部長さんが「気にしないで」と呆れたように答えた。



そのまま、「それより……」と口を開く。



「噂には聞いてたけど、本当にリア女の同級生だったのね。モデルの“和田はつひ”って。
学校で見たことない気がするけど、やっぱり仕事って忙しいものなの?」
< 272 / 278 >

この作品をシェア

pagetop