2年3組乙女事情
「いいけど……」
いきなりの提案に戸惑った顔をしながら、横岩さんがお弁当箱を受け取る。
「今から、そっち行くから」
「へ?」
びっくりする2人ににやりと笑いかける。
がっしりと窓に両手を乗せてから、足元に視線を落とした。
近くにあったコンクリートのブロックも使いながら、ぐっと窓の枠まで足をのばす。
別に、近くにカメラがあるわけでもないし、横岩さんと部長さんしか見てないんだから大丈夫だよね?
「はい、ちょっとそこどいてね」
そう言ってからすとんっ、と部室の床に飛び降りた。
少しだけぴりっと振動が走ったけど大丈夫。
立ち上がったわたしを、2人は茫然と見上げた。
「モデルってだけあって、やっぱり背は高いのね」
「何かこの状況、ものすごく青春っぽーい!」
ばらばらなことをつぶやく2人を見て、思わず笑う。
そんなわたしにつられてか、2人もそのまま笑い出した。
「あっ! お昼休み、あと30分しかないよ!」
「じゃあ、早くご飯食べないと」
「そうだね。みんなで食べよ!」
お弁当箱を差し出してくれた横岩さんに、わたしはにっこりと微笑んだ。
「うん。ありがとう!」