2年3組乙女事情

「ねぇ! HINATAに会ったことある?」



普段は杉野さんが座ってるらしいソファーに座りながら、3人で並ぶ。



何故か真ん中に座ることになったわたしの隣で、横岩さんが声を弾ませた。



「HINATAさん?あるよ。すごく気の利く、素敵な人だった」


「すごーいっ!」


「ちょっと、うるさいから黙って!」



目をきらきらさせる横岩さんを、反対側から部長さんが睨みつける。



ずっと前から仲が良かったんじゃないかって思うくらいにテンポのいい2人の会話が、少し面白くなってきた。



「ねぇ! はーちゃんって呼んで良い?」


「あ、うん。もちろん」


「やったー! ありがとう!」


「だからうるさいってば!」



お仕事には、お仕事でしか楽しめないことや、学べないことがある。


リア女にも、リア女でしか楽しめないことや、学べないこともある。



自分の手を伸ばせる最大の範囲でいろいろな経験をすることが、きっとわたしには必要なんだよね?



遅いかもしれないけど、それにようやく気付いた。



横岩さんが“青春”って呼んでたのは、もしかしたらこういうことなのかな……?
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