2年3組乙女事情
「小松さん。
この書類には親のサインとハンコが必要だって言ったでしょう?
あなたの名前しか書いてないってどういうこと?」
「すみません」
「明日までは待ってあげますから、ちゃんこの書類を完成させてきて下さいね」
「すみません」
目の前で厳しい顔をしている担任の先生に、私はただただ頭を下げた。
「芽依さ、それお母さんに見せなかったんでしょう?」
先生と話終わって席に戻った私に、舞花が声をかけてきた。
藤堂舞花[とうどうまいか]は、私の右斜め前の席に座ってる。
真っ黒で長い髪と、ぱっちりとした目がお人形みたいで本当に可愛い。
でも、意外にさっぱりとしてるのが舞花。
実はそれなりのお嬢様なんだけど……。
まぁ、これを言うと怒られるから困っちゃうんだけどさ。