2年3組乙女事情
俯いて黙り込んだ私に呆れたのか、ママが大きなため息をついた。



「芽依、黙ってるだけじゃママ達はどうすれば良いかわからないでしょ?正直に言いなさい。行きたいの?」


静かにそう言ったママの声は、頭ごなしに怒って来るようなトーンじゃない。


もしかして、許してくれるの?

それとも、私を試してるだけ?



考え出したら、余計に頭の中がまとまらない。


何か言わなきゃ……

言わなきゃ何も変わらない……

言わなきゃ、私はずっと今の情けない私のままだ……


「できるなら、……行きたい」

「そう」



一言。

たった一言でも、そう口にしたら何だか気持ちが軽くなった。



「だって、最後なんだもん!今まで旅行なんてまともに行ったことないし、高校のみんなと行けるのは今回だけなんだもん!」



一回軽くなった心は、もう止まってはくれなかった。
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