2年3組乙女事情
「こ、こんなの無理だよぉ〜」
次の日、修学旅行のスケジュールを見て、私は愕然とした。
「あたし的には、いっぱい遊べてありがたいスケジュールなんだけどねー」
「うぅー……」
隣で楽しそうに笑う舞花が、ものすごくうらやましい。
私は、舞花を軽く睨んでスケジュール表に視線を戻した。
今日は修学旅行の班決めとスケジュール確認の日。
修学旅行中には、班別で自由に行動していい日がある。
明日からその予定を決めはじめるみたいだから、その前に班とスケジュールを確認しようってわけだ。
そして私は、この、あまりにもハードなスケジュールを見て凹んでる。
「朝6時半からの砂浜のランニングって何!?
だったら寝てたいしピアノ弾きたいよ!夜だって講話とかイベントとかで消灯時間まで余裕ないし……」
「ママから1日最低2時間は弾くように言われてるもんねぇ」
「サボったら絶対ばれちゃう!」
「だろうね。頑張って!同じ部屋だから応援するわよ?」
ニヤッと笑う舞花を見て、私はまたため息を吐いた。
そして、改めてスケジュールを見直してから、ピンク色のペンでピアノを練習する時間を書き込んだ。
スケジュール間を使ってるから、ぶつぶつだけど……
ママとの約束だから、頑張るんだ。
だってね。
ピアノはママと私の夢。
修学旅行は舞花と私の夢。
だからどっちも、成功させたいんだ!
ピンクの書き込みが浮かぶ表を見て、舞花と2人、夢に笑顔を向けた。
〜4番 小松芽依 END〜