2年3組乙女事情
5番 杉野玲
「……い。玲!」
「…………」
「リア女の2年3組5番、杉野玲[すぎのれい]!」
「…………あ、何?」
何だかすっごく丁寧に呼ばれた気がして、読んでる本から顔を上げる。
目の前には、幼なじみの亨[とおる]の恐そうな顔が広がってた。
「どうしたの?
そんなに力入れてると、顔がしわしわになっちゃうよ?」
「ならない」
「まだ若いのに……気の毒だね」
なかなか元に戻らない顔を視界から消して、また下を向いた。
今、大事なシーンなんだもん……。
ずっと幼なじみが好きだった主人公。
実は両想いだったその子が幼なじみに告白してもらえそうなの。
鈍感で天然なこの子の恋を見守るのは、本当に焦れったかったんだから。
学校がお休みの日曜日。
当たり前のようにあたしの部屋に来た亨を無視して、あたしは読書を続けた。
「玲!」
「…………」
「リア女の2年3組5番、杉野玲[すぎのれい]!」
「…………あ、何?」
何だかすっごく丁寧に呼ばれた気がして、読んでる本から顔を上げる。
目の前には、幼なじみの亨[とおる]の恐そうな顔が広がってた。
「どうしたの?
そんなに力入れてると、顔がしわしわになっちゃうよ?」
「ならない」
「まだ若いのに……気の毒だね」
なかなか元に戻らない顔を視界から消して、また下を向いた。
今、大事なシーンなんだもん……。
ずっと幼なじみが好きだった主人公。
実は両想いだったその子が幼なじみに告白してもらえそうなの。
鈍感で天然なこの子の恋を見守るのは、本当に焦れったかったんだから。
学校がお休みの日曜日。
当たり前のようにあたしの部屋に来た亨を無視して、あたしは読書を続けた。
「玲!」