2年3組乙女事情
亨の言うように、あたしは鈍感なのかもしれないね。



もしも、小説の主人公が告白されそうになってなくて

もしも、亨がキスしなかったら


あたしは自分の恋心をしらないままだったと思うから。



でもね、亨だって鈍感だよ?



だって、普段は推理小説ばっかり読んでるあたしが、初めて純粋な恋愛小説を読んでることに、何も疑問を持ってない。


これだってきっと、知らない間に亨への気持ちが膨らんでた証拠だったはずなんだ。




「亨、ありがと……大好き」



照れ臭かったけど、思ったことを素直に言ってみた。





夏が訪れる少し前。


大好きなしわしわの笑顔が、優しくあたしを包み込んだ。






〜5番 杉野玲 END〜
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