2年3組乙女事情
1限目の数学で、担任のおばさん先生は昨日と同じように、嫌そうな、何か言いたそうな視線を投げ掛けてきた。


まぁ、昨日も今日も、校門での説教を無視してきたから当たり前かもしれないけど。


でも、今さら何を言われたって、まだ穴が完成してないからピアスははずせない。


それだったら、そんな無駄な説教に付き合うよりも、椅子に座って体を休めたい。

勉強したい。


そう思うのは自然なことでしょ?



ついつい力を抜きそうになる体に鞭を打って、あたしは数学の授業に集中した。


何が何でも、成績は落とせない。

授業も休めない。


そんなことを考えながら、2限目の体育に向かった。


こんな時に体育なんてありえないとは思ったけれど、それから何とか1時間乗り切ることができた自分は、ちょっとすごいと思う。


バスケで体育館中を休む間もなく走り回ったことが、幸か不幸か、あたしの気力を保たせたらしい。


体育が終わった後、ぐらぐらする頭を必死で押さえながら教室までの階段を登った。


まわりで聞こえる明るくて高い声達は、煩いのレベルを通り越しているくらい目障りだ。


教室には、逃げ場を失った声と制汗剤の匂いがいっぱい広がっている。


そんな様子に眉間をしかめてから、窓際の1番前の席まで行ったところであたしの意識は途切れた。



一瞬だけ見えた空は、憎いくらいに水色だった。
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