2年3組乙女事情
8時。

あたし達のお世話をする職員さんが、出席をとりに来た。



ピンクのジャージに着替えた後

控室にいるからっておしゃべりに夢中だったあたし達だって、さすがにドアが開いた瞬間に口を閉じた。



雨宮ありす

小松芽依

あたし、8番の藤堂舞花

委員長の峯岸美海

あたしの隣の席の布施清夏[ふせきよか]



リア女は1クラス20人しかいないから、みんなそこまで仲が悪いわけじゃないし……


普段はない組み合わせの5人だけど、違和感はあんまりない。



「この施設にいらっしゃる方は、皆さん朝ここへ来て、夕方帰宅します。学校と同じなんですよ」



長めの黒い髪と黒いメガネが印象的な担当の男の人が、にっこり微笑む。


施設のネームが入った水色のユニホームを着てるから……?



年齢不詳感が否めない……。



「この5日間にやってもらうのは、送迎ワゴンに同乗しての朝のお迎え、ここへ到着してからのお茶とおしぼりの配布。
それからは午前中のフリータイムなので、各々の遊びやお話の相手をして下さい。
それからまた、お昼用のお茶とおしぼりの配布をして終了です」



それで来週、学校にレポートを提出するのよね?



何か結構、面倒かも……。



「では、よろしくお願いします」



小さく溜息を落とすあたしの上に、担当の人の声がからっと響いた。
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