2年3組乙女事情
説明が終わってから1人ずつ担当のワゴン車に乗せられたあたし達は

町をぐるぐるまわって利用者の方をお迎えに行った。



そうは言っても、あたしの仕事なんて特にはなくて……


3分の2くらいを、運転してる職員さんと乗ってきた利用者さんの会話を繋ぐことに費やした。



施設に着いたら、今度はお茶とおしぼりの準備。



まぁこれだって、やかんのお茶をついで、喫茶店で出てくるようなおしぼりをそれぞれに配るだけ……。



「何なのよ、この仕事……」


「ちょっと舞花っ!」



これのどこがボランティアなのよ……――――


思わずつぶやいた言葉に、隣にいた芽依が不安そうに首を振った。



ちらっと芽依が視線を送った先を見ると

こっちをじっと睨むおばあさんと目が合う。



もしかしてあたし、何かやらかしたパターン……?



割と感覚で動いちゃうあたしをいつも助けてくれる芽依には、本当に感謝してる。



あたしとは違って、本当に優しいんだろうな……――――



少し暗くなった気持ちを隠すみたいに、いつもの笑顔を作り直す。



大丈夫よ!

私はこーゆーの、慣れてるんだから。



自分にそう良い聞かせて

あたしはさっきから続く強い視線の先を目指した。
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