2年3組乙女事情
みんなのいる部屋には帰らずに、そのままリア女生が使っても良いって言われてるトイレに入る。
1番奥の個室に入って鍵を閉めた。
閉めたドアに、どんっと背中を付ける。
これじゃ、ただのサボりじゃない……――――
いろんなことに意地張って
ほとんどのことなら笑顔で流せるようになった。
……つもり。
でも、どうして今は耐えられないのよ……。
もういっそ、お人形みたいに笑顔だけ貼り付けてられれば良いのに……――――
「藤堂さん?」
溢れそうになった涙を耐えようとして、ドアに後頭部を預けた瞬間に、あたしを呼ぶ声がした。
「……雨宮、ありす?」
「フルネームで呼ばれるって、こんな感じなんだ……」
くすっと笑った雨宮さんは、あたしのいる個室に向かって足を進めた。
ちょうど、あたしの背中の辺りで、足音がぴたっと止まる。
「何サボってんのよ」
「ちょっとトイレに入りたかっただけよ。邪魔しないでくれる?」
「長すぎよ……静かだし」
雨宮さんの声って、意外に高いんだ……。