幼馴染と彼氏の事情
「彼・・・行ったみたいだよ。」
彼の言葉の合図で顔を上げる。
私は彼の顔を見て少しホッとしたのか・・・小さな粒が零れ落ちた。
「星華・・・おいで。」
彼は両手を少し広げ私に合図した。
今はいいよね?
「しゅ・・・ん・・・ちゃん。」
少しだけ・・・少しだけ恭ちゃんのこと考えてもいいよね?
今だけだから・・・。
「星華・・・彼のこと好きだったの?涙なんか流しちゃって。」
「うん・・・・でも恋愛対象では見れなかった。それに・・・私には俊ちゃんがいる。今はそれだけでいいの。」
それに恭ちゃんは駄目だよ。・・・彼にはもういる。
「そっか・・・。俺嬉しいよ。君が僕の方に戻ってきてくれて。」
「・・・。」
なぜかその言葉に返す答えがなかった。
なんでかな?
*
教室に戻るとやたら女子が騒いでにぎわっていた。
「あ!星華ー!!こっちこっち!!」
私に気づいた友達が私の手を引っ張って無理やり女子の中に入った。
「これ!見てみて!!」
友達が指差したチラシを見る。
「これ・・・この高校の新聞だよね?・・・創立100周年を記念して今年ダンスパーティーを開催・・・え!?」
だ・・・ダンスパーティー!?
そんなことできるお金あったんだ!!!
「ねぇ!コレを気に彼氏さん誘って踊ったら!?」
それが目的ね・・・。
「参加自由・・・あたし出ない。」
「え・・・星華!?何で??」
なんで・・・理由はただ一つ。
「だって・・・ドレスもってないし着ても似合わないもん!!!」