幼馴染と彼氏の事情
この手好きだった・・・。
私の感情に応じて変わる温度・・・細くて綺麗な手。
「ありが・・・とう。」
彼の優しい手が心に触れて
自然と涙が出てきてしまった。
「泣かないで・・・。笑顔みたいな。」
「う・・・ん。ごめんね・・・・。」
正直上手く笑えない。
だから頑張って作り笑顔をする・・・けどやっぱり泣き顔に戻った。
「そっか・・・。わかった・・・泣いて。おもいっきり泣いて。」
そう言って優しく抱きしめる。
私は遠慮をすることもなくおもいっきり泣いた・・・。
自分の声が響く・・・。
答えが出せない自分が悔しい。
それでどっちかを傷つける自分が嫌だ。
ごめんね・・・・ごめんなさい・・・。
「俊ちゃんごめんね・・・あたし・・・最低だ。」
泣いた声で一生懸命謝る・・・。
そのたびに頷いて大丈夫と・・・声を掛けてくれる。
何回も・・・何回も・・・。
「っ・・・・。」
私は暫くして泣くのをやめた・・・。
「どう?落ち着いた?」
「うん・・・・ありがとう。」
彼の胸で泣いてわかった・・・。
私の気持ちに答えがついた。
「俊ちゃん・・・・。あのねあたしの気持ちちゃんと聴いてほしいの。」
そして彼の両手を優しく包み答える・・・。
これが私の答えだ・・・。
「あたし・・・俊ちゃんが好き。でも、それはもう彼氏としてじゃない友達として。」
彼は少し驚いた顔をした。でもすぐに戻り続けて・・・と答える。
「直前まで悩んだ・・・。どうすればうまくいくのかなって。でも、わかったの・・・うまくいく方法なんて無い・・・ごまかすなら素直に言おうって。」
すると彼は立ち上がった。
少し寂しげな顔で言う。
「それが君の答えなんだね?後悔しない?」
俊ちゃん・・・・。
「うん。私は恭ちゃんが好き・・・。この答えに後悔ない。」
「そっか・・・。じゃあダンスは彼と踊って?」
「え・・・。」
彼は私をもう一度強く抱きしめる。