主婦だって恋をする
初デート
土曜日の夕方……家のチャイムが鳴った。
玄関を開けると、浮かない表情の成美と……傍らには大きな旅行用のトランク。
「平気なの?土曜なのに」
土日は会わないというのが暗黙の了解だったから、疑問に思って俺は尋ねた。
「出たのよ……家」
家を出た……?
その意味を理解するのに少し時間がかかった。
「私、しばらくここに居てもいい……?」
道に迷った子供のように不安そうな仕草で、成美は俺の服を掴んだ。
「もちろん、いいけど……」
まだ状況を理解しきれてない俺は、とりあえず彼女を家に招き入れた。