主婦だって恋をする
「とりあえず、これ飲みな?」
ミルクと砂糖を多めに入れたアールグレイを作って、成美に差し出した。
「ありがとう……」
成美はカップに口を付けて少しだけすすると、それをテーブルに置いて俺を見つめた。
「簡単に言うとね……ばれちゃった、慶とのこと」
成美は笑って言ったけどそれは虚勢だと思ったから、俺は彼女を抱き寄せて、髪を撫でた。
「追い出されたわけじゃないの。自分の意志で、家を出たわ。慶のところで自分の気持ちと向き合おうと思って」
「成美……俺……そんなこと言われたら期待しちゃう」
今まで必死で押さえてた醜い感情が……俺の中から少しずつ姿を現していた。
「期待するって、何を……?」
「成美が……俺のものになること」