主婦だって恋をする
「誰か来ても絶対に玄関を開けないこと。出かけるときは行き先を言ってあまり遅くならないこと。それから……」
「ねぇ……私、子どもじゃないよ」
翌朝、初めて一緒に夜を越えた俺たちは、ベッドに入ったまま二人の間のルールについて話し合っていた。
「わかってるけど……心配なんだもん。成美、ぼーっとしてるし」
「失礼ね……私の方が年上だって分かってる?」
「あ、忘れてた」
もう!と俺を叩く振りをする成美の手を取って、起きてから初めてのキスをした。
「今日、一緒にでかけない?日曜だし」
俺の提案に、成美は目を輝かせた。
「行きたい!慶と外を歩けるなんて夢みたい」
“夢みたい”
……俺もそう思ってたから、成美がおんなじ気持ちだって分かって嬉しかった。
今まではこの部屋で二人同じ時間を過ごせれば満足だったのに……人の欲は、本当にきりがない。