主婦だって恋をする

「誰か来ても絶対に玄関を開けないこと。出かけるときは行き先を言ってあまり遅くならないこと。それから……」


「ねぇ……私、子どもじゃないよ」



翌朝、初めて一緒に夜を越えた俺たちは、ベッドに入ったまま二人の間のルールについて話し合っていた。



「わかってるけど……心配なんだもん。成美、ぼーっとしてるし」


「失礼ね……私の方が年上だって分かってる?」


「あ、忘れてた」



もう!と俺を叩く振りをする成美の手を取って、起きてから初めてのキスをした。



「今日、一緒にでかけない?日曜だし」



俺の提案に、成美は目を輝かせた。



「行きたい!慶と外を歩けるなんて夢みたい」



“夢みたい”

……俺もそう思ってたから、成美がおんなじ気持ちだって分かって嬉しかった。


今まではこの部屋で二人同じ時間を過ごせれば満足だったのに……人の欲は、本当にきりがない。


< 104 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop