主婦だって恋をする

すっかり薄暗くなって、車のヘッドライトが連なる通りを手を繋いで歩いた。


俺たちは何軒もショップをはしごし、成美にいろんな服を着せた。

でも結局買ってあげたのは家で着る用の部屋着だけ。



「……やっぱ、いつもの成美がいいや」



そういう結論に達して。



「でも楽しかった。それに部屋着、ありがとう」


「安もんだよ?」


「……関係ないわよ。慶が選んでくれたのが嬉しいの」



ぴったり寄り添って歩く俺たちは、誰が見ても恋人同士。

成美に旦那が居るなんて、すれ違う通行人は誰も知らない。


このまま、ずっと俺だけの成美でいてくれればいいのにな……


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