主婦だって恋をする
「次も金使わないとこ、行こう?」
「帰らないの?」
「……まだ、帰るのが惜しい。どうせ帰り道の途中だから」
そう言って成美を連れてきたのは、近所の公園。
広めのその場所には、俺たちの他にも何組かの男女がベンチに座っていた。
俺たちもベンチに座り、しばらくただ黙って夜風に吹かれていた。
「……ねぇ」
突然、成美が困った顔をして俺の方を見る。
その理由はすぐに分かった。
後ろの植え込みを挟んだ向こうから、女のただならぬ声が聞こえてきたからだ。