主婦だって恋をする
友人への告白
慶との生活にも徐々に慣れ、二人での外出も当たり前になってきたある日のこと……
私たちは家電量販店に来ていた。
「――これなんてどう?三合炊きで2980円」
「炊ければ何でもいい。昨日の硬いメシだけはもう勘弁」
「お鍋で炊き直しても芯が残ってたものね……」
昨夜、炊飯器が壊れた。
炊飯が完了した音が鳴って蓋を開けてみると、中には中途半端に加熱された未完成のご飯。
お腹が空いていた私たちは
二人揃ってがっくり肩を落とした。
慶がご飯が炊けないと生死に関わる、と騒ぐから今日急いで買いに来たのだった。
「じゃ俺、会計してくる」
「うん」
レジに向かう慶の背中を見送って、私が何気なく売場をうろうろしているときだった。
「……あれ、成美?」
聞き覚えのある声が、私の名を呼んだ。