主婦だって恋をする
「……ただのアパートにしか見えないんだけど」
「そう?気のせいじゃん?」
不安げな表情の彼女を無視してカン、カンと外階段を上る。
「や……やっぱり私帰る」
「だーめ」
二階の自分の部屋の前まで来て彼女を見ると顔面蒼白だった。
「……取って食ったりしないって」
そう言いながらも、ガチャリと鍵を開けて無理矢理彼女を引っ張り込んだ。
「きゃ……!」
転びそうになる彼女を。ぽすんと胸で受け止める。
「あー…いい匂い。本当に食っちゃおっかな」
俺が言った瞬間がばっと体を離して後ずさった彼女。
冗談だって。……たぶん。
しかし相変わらず過剰な反応が可愛いなー……
「……ここ、あなたの家?」
「…そ。汚いけどまぁ入って」
渋々靴を脱いだ彼女をリビングに案内した。
「こたつ入ってテレビでも見ててよ。俺はカルボナーラ作るから」
「……………………」
返事はなかったけど、言われたとおりこたつに入ってテレビをつけた彼女。
……なんかいいな、こういうの。
俺は久々に胸が浮き足立つのを感じた。