主婦だって恋をする
慶にとっては、あんな風にはぐらかされて気分が悪かったに違いない。
私は申し訳なく思って、彼の頭を撫でながら言う。
「……そうね、正直に話せば良かった」
その言葉に、慶はますます体を縮めて深いため息をついた。
「……慶?」
「……俺、最近、わがままだよな。成美と一緒に住み始めてからちょっとしたことに腹が立つ。……ごめん」
私の肩に頭を乗せて、慶はそう謝った。
「週末……祥子に慶とのことちゃんと話してくる」
「………成美、ありがと」
そっと慶の唇が触れて、それが仲直りの合図。
ごめんね、大好きよ。
そんな気持ちを込めて、私も彼にキスをする。
小さな部屋でひっそりと育ててきた私たちの恋は……
いつの間にか他人に隠しておけない程に、成長してしまっていた。