主婦だって恋をする

「職場で言ったから、成美を知ってる他の古い社員も盛り上がっちゃって……
姫島さん、本人に聞いてみるなんて言ってたけど」



それは……私が行かなかったら不自然だろうな。

周りに何か勘繰られたら、夫に迷惑をかけてしまうことになる。



「行かないと厄介なことになりそうね。祥子、教えてくれてありがとう。私から、連絡してみる」


「……行くの?社員旅行」



心配そうに私を見た祥子。



「一緒に住んでる彼がいいって言ってくれれば」



私は微笑んで紅茶を飲み干したけれど、カップを置く頃には心がずっしりと重くなっていた。



……慶は許してくれるだろうか?

社員旅行とはいえ夫と夜を過ごすことを……


彼の傷ついた瞳を思い浮かべると、胸が痛んだ。


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