主婦だって恋をする
「夫の社員旅行に同行しなくちゃならなくて……朝から一緒に行かないとおかしいでしょ?だから……」
「……泊まるの?」
刺のある聞き方だと自分でも分かったけど、そんなことも構ってられないほど俺は焦っていた。
「前の晩に家に泊まって……旅行でも一泊することになる。でも、終わったらすぐにここへ戻るから……」
「嫌だ」
また、俺の中のわがままな自分が膨らんできて、心の余裕を奪っていく。
「慶、お願い……わかって?」
「一人の夜なんて耐えられない」
子どもか?俺は……
でもいい。成美がここに残ってくれるなら……子どもにでもなんでもなってやる。