主婦だって恋をする
「友達の家に行くとか……慶の寂しさを紛らわす方法、何かない?」
「そんなに旦那のとこ行きたいの?」
その言葉に成美が悲しそうな顔をしたから、喧嘩腰な聞き方をしたことを俺はすぐに後悔した。
「ごめんね……結婚している女で」
「そういう意味じゃないよ。ごめん、成美……」
俺は彼女を抱き寄せて、わがままな自分を心の隅になんとか追いやると、苦渋の決断をした。
「絶対に帰ってくるって約束して……」
「……行っても、いいの?」
「本当は嫌だけど……成美のこと、信じてるから」
「慶、ありがとう……」
成美は俺にキスをしてから、旦那に電話をかけるために外に出た。
それはほんの五分くらいの時間だったのに……
落ち着かなくて、いらいらして、成美が戻って来る頃には心がくたくただった。